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セミナーレポート: 京都から、ごみを生まない「小売」を考える #2

今回のセミナーでは、ご応募の際に斗々屋さんへの事前質問を寄せていただきました。

するとびっくり。予想を遥かに上回る大量の質問が届きました!

セミナーレポート#2〜3では、その一部をご紹介いたします。



「量り売り」は目的ではなく、ゼロ・ウェイストのためのやり方のひとつ


──まずは量り売りにそのものついてお伺いします。京都本店をオープンされてから 1 年半経ちましたが、お客様の反応や、浸透してきた手応えはいかがですか?


オープン時は全国からお客様が来てくださって、たくさんの方に来ていただいたけれど、ほとんどが京都の方じゃないという感覚があって。半年後くらいからようやく、「実は京都に住んでいるんです」という方が増えてきたという感じ。 LINE の会員はどこに住まわれているか大体わかるんですけど、現在 4500 人くらい会員になっていただいているうちの半分は、京都府外。なので、まだまだご近所には親しまれていないのかなぁ……と思っています。


──移動販売もされていますが、反響はいかがですか?


デポジット容器を移動販売でも返せるようにしているんですけど、それがすごく便利だというので、遠くから来ている常連さんにも喜んでもらっていますね。


──移動販売だと容器を持参されるお客さんも少ないのかと思っていましたが、本店と移動販売とでいい循環ができているんですね。


そうですね。お客さんの家の近くまで行っていると、「ちょっとタッパ取ってくるわ!」みたいな感じで。むしろ移動販売の方が、容器持参してくださる方が増えてくるんじゃないかと思っています。


──最近はレトルトや、あらかじめパッケージングされた商品も増えていますが。


レトルトは元々、食品ロスを出さないためにやろうと思っていたものなんですけど、他のパッケージ商品の方も、ほとんど全部デポジット瓶の中に入れているので。「量り売り」はゼロ・ウェイストのための一つのやり方であって、量り売りをやりたいからやっているわけではなくて。ゼロ・ウェイストを目指せるということで、ごみの出ないデポジットも目的は同じなんですね。


葉野菜のサラダが裸で籠に入っている。
フランスでは、葉野菜やサラダも裸売りされている。

──これは、フランスの様子ですか?


フランスに住んでいる間は、毎週市場にお買い物に行くんですけど、こんな感じで野菜が売られていて。これはサラダなんですけど、お客さんは手で掴んで自分の持ってきた容器とか、お店に置かれている再利用の紙袋に入れるんです。


ショーケースの中に、裸で皿に置かれた生肉や加工肉が並べられている。
生肉や加工肉が並ぶ皿にはラップもかかっていない。

お肉も全部、容器を持ち込めばそれに入れてくれるようになっているので、結構田舎なんですけど、明日からごみを減らす生活をしたいと思ったら、みんながチャレンジできるような選択肢が揃っているな、て感じですね。



「小売さんが変わってくれないと……」


──デポジット容器はどのくらい返してもらえるのかも気になりますが。


それもデータを取っているんですけど、大体 40% くらいは返ってきています。ただ、うちのデポジット容器は瓶で、結構便利じゃないですか。なので、みなさんそのまま瓶で保存されて、食べ終わったら返すって感じなので、その月に貸した分が 40% 返ってくるというよりは、数ヶ月前に貸したものが今帰ってきている可能性もありますし、その辺のパーセンテージは難しいところなんですけど。思っていたよりは返ってきているなという感じです。

やっぱり 1 個 150 円となると、まぁ捨てないですよね。使わなくなって溜まってきても「捨てよう」と思えない金額なので、結局は何年かかけて返ってくるんじゃないかと思っています。


──デポジット容器を使われる方はどれくらいいらっしゃる印象ですか?


はじめて来られる方で、ご近所にお住まいだったら、みなさん結構な割合でデポジット瓶を利用されますね。常連さんでかなり完璧に容器を持ち込まれる方でも、知らなかった新商品を買うときなどに使ってくださっているので、いい感じで私たちの計画通りに使ってくださっていると感じます(笑)


──デポジット容器があることが、販売の追い風になっている部分もあるんですね。ちなみに、容器の衛生管理はどうされていますか?


今までは斗々屋内で洗浄して、コンベクションオーブンで殺菌消毒していたんですけど、最近は吉川商店さん(京都府伏見の洗瓶工場)に洗瓶していただけるようになりました。


──なるほど、専門の業者さんの力も借りているんですね。一方で、お客様が持ち込まれた容器の衛生管理はどのように考えていらっしゃいますか。


お客様には自己責任で容器を使ってください、というかたちでお願いしています。マイカップの持ち込みを OK にしている大手チェーン店さんも同じ状況だと思うんですけど、お客様に清潔な容器を持ってきてくださるようにお願いして。万が一、目視の状態で問題がある容器を持ち込まれた場合はお断りすることもありますけれど、今までそういった例はないですね。


──仕入れについてもお伺いします。通箱や通袋を使っての仕入れは手間がかかる分、メーカーさんも協力いただけるところとそうでないところがあったと思います。ご協力くださったメーカーさんは、どのように口説き落とされたんですか?


まず、欲しい商品を扱っているところに連絡するんですけど、「こういう取り組みをしています」とお伝えして、可能であればこうやって仕入れをしたい、とご相談すると、みなさん共感してくださることが多くて。うちの取引先は大体、自然栽培のお野菜やオーガニック食材を扱ってらっしゃっていて「自分たちもオーガニックとかをやっているから、なんとかしていきたいとは思っているけれども、小売さんが変わってくれないと自分たちメーカーは中々変えられない」と。

ただやっぱり大きな会社さんになると、容器に入れるオペレーションが出来上がっているので、わざわざうちだけのために組み立て直してもらうのは難しいこともあるんです。でも、老舗の和田萬さん(有機ごま、ふりかけなど https://www.wadaman.com/)、土居さん(昆布、ふりかけなど https://www.konbudoi.jp)などは、今までのマニュアルを変えて取り組んでくださった。社長さんがたも「このまま一生ごみを出し続けていていいのか」という思いがあったとおっしゃって、大変なオペレーションを変える取り組みを喜んでしてくださって、今も色々協力くださっています。


──すごくいい関係性ですね。生産者の側も小売の側も、お互いがお互いに遠慮し合ってしまっていたんですね。

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筆者:むるま

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